親や兄弟、友人からお金を借りたとき、「これって税金がかかるの?」と不安になる人は多いです。個人間融資は金融機関の審査がない分、気軽に利用できる反面、税務上のリスクが見落とされがちです。実は借り方・返し方によっては、贈与税や所得税が発生することがあります。
この記事では、個人間融資に税金がかかる仕組みから、贈与とみなされないための具体的な対策まで丁寧に解説します。貸し手・借り手それぞれの立場で整理しているので、どちらの立場でも参考にしてください。
- 個人間融資とは?
- 個人間融資に税金がかかる仕組みとは?
- 贈与とみなされるケースとは?
- 無利息融資で贈与税が発生する条件とは?
- 貸し手(融資する側)に発生する税金とは?
- 贈与とみなされないための借用書の作り方とは?
- 返済方法で税務リスクが変わる理由とは?
- 税務調査で実際に確認される項目とは?
- 友人・知人間での融資で注意すべき税務リスクとは?
- 相続発生時に個人間融資の残債はどう扱われるか
- 相続税の持ち戻しルールと個人間融資の関係とは?
- 法定利率の変更が個人間融資に与える影響とは?
- 贈与税の申告が必要になる場合の手続きとは?
- 個人間融資のトラブルを防ぐ専門家への相談タイミングとは?
- FAQ:個人間融資と税金でよくある疑問
- まとめ
個人間融資とは?
個人間融資とは、銀行や消費者金融などの金融機関を介さず、個人と個人の間で直接お金を貸し借りすることです。
個人間融資の定義と対象範囲とは?
対象は幅広く、親子・兄弟・夫婦・祖父母と孫・友人・知人など、あらゆる関係性の個人間が含まれます。金額の上限や下限も法律上は定められていません。
日常的な少額の立て替えから、住宅購入資金や事業資金としての数百万円規模の融資まで、すべてが「個人間融資」に該当します。気軽に行われている分、後から税務上の問題が発覚するケースが少なくありません。
金融機関融資との違いとは?
金融機関からの融資には、審査・契約書・返済スケジュールが必ずセットになります。一方、個人間融資は口頭の約束だけで成立することも多く、そのルーズさが税務リスクにつながります。
税務署は「個人間でのお金の移動=贈与の可能性あり」として調査を行います。金融機関の融資であれば疑われにくいですが、個人間融資は証拠が乏しいと贈与と認定されやすい構造になっています。
どのような場面で発生するか
実際によくある場面を整理しておきます。
- 住宅購入・リフォームの頭金を親から借りる
- 起業・独立の資金を親族から調達する
- 一時的な生活費不足を兄弟・友人に立て替えてもらう
- 子の教育費を祖父母が援助する形で貸し付ける
どれも日常的な場面ですが、金額が大きいほど税務署の目に留まりやすくなります。
個人間融資に税金がかかる仕組みとは?
「借りただけなのに税金がかかるの?」と疑問に思う人もいるでしょう。まず基本的な仕組みを押さえておきましょう。
元本は原則として非課税になる理由
借りたお金の元本部分は、きちんと返済していれば贈与にはなりません。国税庁タックスアンサーNo.4420でも、「真に金銭の貸借であると認められる場合は贈与にはならない」と明示されています。
ポイントは「真に貸借と認められるかどうか」です。返済の実態がある、返済能力がある、契約書がある、これらが揃ってはじめて「借入」として扱われます。
利息部分に課税される根拠とは?
元本が非課税でも、利息の扱いは別です。無利息や著しく低い利率で借りた場合、「本来払うべき利息を免除してもらった」と税務上みなされます。
この「免除された利息相当額」は「みなし贈与」として贈与税の課税対象になる可能性があります。根拠となるのは相続税法基本通達9-10です。
貸し手・借り手それぞれに発生する税の種類
発生しうる税金を立場別に整理します。
| 立場 | 発生しうる税金 | 課税対象 |
|---|---|---|
| 借り手 | 贈与税 | 元本全体(贈与認定時)・利息相当額(みなし贈与時) |
| 貸し手 | 所得税(雑所得) | 受け取った利息収入 |
| 借り手(相続絡み) | 相続税 | 貸し手死亡後の未返済残債 |
貸し手側にも税負担が生じる点は、意外と知られていません。
贈与とみなされるケースとは?
税務署から「これは贈与だ」と判断される場面はいくつかのパターンに分かれます。
返済能力のない相手への貸し付けとは?
借り手の年収や資産から見て、明らかに返済できない金額を渡した場合、税務署は「贈与が前提のお金の移動」と判断します。
たとえば年収300万円の人が親から5000万円を「借りた」としても、現実的な返済計画がない限り借入とは認められません。「返せる金額を借りる」ことが、非課税の大前提です。
「出世払い」「あるとき払い」が危険な理由とは?
国税庁の通達では、「ある時払いの催促なし」または「出世払い」の貸借は、借入金そのものが贈与として扱われると明記されています。
返済期日が明確でない貸し借りは、税務署の目には「返さなくていいお金」に映ります。親子間だからこそ曖昧になりがちですが、返済期日を明確に設定することが絶対条件です。
返済免除・肩代わりが贈与になる仕組みとは?
「もう返さなくていいよ」と貸し手が言った瞬間、免除された金額は贈与として課税対象になります。善意の言葉が思わぬ税負担を生む点に注意が必要です。
また、借り手のローンを第三者が肩代わりして返済した場合も同様です。肩代わりした金額を返済するつもりがなければ、その全額が贈与税の対象になります。
無利息融資で贈与税が発生する条件とは?
無利息で貸し借りをすること自体は禁止されていません。ただし、一定の条件を超えると課税されます。
みなし贈与の概念と根拠規定とは?
「贈与するつもりがなくても、経済的な利益が移転したとみなされれば課税する」という考え方が「みなし贈与」です。相続税法基本通達9-10に規定されており、無利息融資の利息相当額がその対象になります。
当事者が「貸し借りのつもり」であっても、課税の判断は税務署が行います。意図と課税の有無は別物として理解しておきましょう。
利息相当額が年間110万円以下なら非課税になる理由
みなし贈与が発生しても、贈与税には年間110万円の基礎控除があります。利息相当額がこの範囲に収まれば、贈与税はかかりません。
法定利率は2020年の民法改正以降、年3%です。この利率をもとに計算すると、元本約3667万円以下の無利息融資であれば、利息相当額が年間110万円以内に収まります。
贈与税が発生する利息額の具体的な計算例
具体的な金額で確認しておきましょう。
| 借入元本 | 法定利率3%で計算した年間利息相当額 | 贈与税 |
|---|---|---|
| 1000万円 | 30万円 | 非課税(110万円以下) |
| 3000万円 | 90万円 | 非課税(110万円以下) |
| 4000万円 | 120万円 | 課税対象(110万円超) |
元本が約3700万円を超える無利息融資では、利息相当額が基礎控除を超えて贈与税が発生します。大口の融資では利率の設定に特に注意が必要です。
貸し手(融資する側)に発生する税金とは?
「お金を貸している側は何も心配しなくていい」と思っている人は多いですが、実は貸し手にも税負担が生じます。
利息収入は雑所得として課税される仕組み
個人が利息を受け取った場合、その金額は「雑所得」として所得税の課税対象になります。給与所得がある人でも、雑所得として合算して申告する必要があります。
利息を受け取っているのに申告を忘れていた、というケースが税務調査で指摘されやすいパターンです。
確定申告が必要になるケースとは?
給与収入のみの会社員の場合、受け取った利息収入が年間20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、20万円を超える場合は申告が必要になります。
一方、事業所得がある個人事業主は、利息収入が少額であっても確定申告の対象に含まれます。「少額だから申告しなくていい」という判断は誤りです。自分の状況に合わせて確認しましょう。
利息免除をした場合の税務上の取り扱いとは?
「利息を取る約束をしたが、実際には受け取っていない」場合、二重の課税リスクが生じます。
貸し手には「利息収入がある」とみなされて所得税がかかり、借り手には「利息の免除を受けた」として贈与税がかかる可能性があります。利息の設定と収受はセットで管理する必要があります。
贈与とみなされないための借用書の作り方とは?
契約書の有無は、税務調査の際に大きな差を生みます。
借用書と金銭消費貸借契約書の違いとは?
2種類の書面を比較します。
| 書類名 | 作成枚数 | 保管方法 | 法的効力 |
|---|---|---|---|
| 借用書 | 1枚(借り手が作成・貸し手が保管) | 貸し手が原本を持つ | あり |
| 金銭消費貸借契約書 | 2枚(双方が保管) | 各自が原本を保管 | より強い |
どちらも「貸し借りである証拠」として機能しますが、大きな金額の融資では金銭消費貸借契約書を作成するほうが安全です。
借用書に必須の記載項目とは?
以下の項目を必ず盛り込みましょう。
- 貸し手・借り手の氏名・住所・押印
- 貸付金額(数字と漢字の両方で記載)
- 貸付日
- 返済期日(「○年○月○日」と日付まで明記)
- 利率または無利息の明記
- 返済方法(口座振込先など)
- 遅延損害金の利率
「○年以内に返す」「なるべく早く返す」といった曖昧な表記は無効も同然です。日付を具体的に記載することが大前提になります。
公正証書にする必要があるケースとは?
通常の借用書には、公正証書にする法的義務はありません。ただし、返済額が大きい・長期間にわたる・当事者の関係が複雑なケースでは、公正証書として作成しておくと強制執行ができるなどの利点があります。
公正証書は公証役場で作成でき、費用は融資額によって変わります。数百万円以上の融資では費用対効果が高いといえます。
返済方法で税務リスクが変わる理由とは?
契約書を作っても、返済の方法次第で税務上の評価が変わります。
銀行振込で履歴を残す重要性とは?
税務調査で最初に確認されるのが「実際に返済がされているかどうか」です。銀行口座への振込であれば、通帳に履歴が残り、第三者が確認できる証拠になります。
返済の事実を客観的に証明できることが、「贈与ではない」と主張するうえで最も重要な要素です。口座の履歴は少なくとも10年は保管しておくことをお勧めします。
現金手渡しが税務調査で問題になりやすい理由とは?
現金での受け渡しは記録が残りません。「確かに渡した」「確かに返した」という主張が証拠のない口約束になってしまいます。
税務調査官から「本当に返済しているのか?」と問われたとき、証明できる手段がないと不利な判断につながります。たとえ少額であっても、振込で返済するクセをつけておきましょう。
返済額・頻度の設定で気をつけること
毎月の返済額が借り手の収入から見て不自然に高い場合、別の問題が生じることがあります。たとえば毎年110万円前後の返済を継続していると、定期的な資金移動として別の角度から調査が入る可能性があります。
返済スケジュールは、借り手の実際の収入・支出に見合った無理のない金額で設定することが基本です。
税務調査で実際に確認される項目とは?
税務調査では何を見られるのかを具体的に把握しておくと、対策が立てやすくなります。
調査官が重視する証拠の種類とは?
税務調査官が個人間融資に関して確認する主な項目は以下のとおりです。
- 借用書・金銭消費貸借契約書の有無と記載内容
- 振込履歴(返済実績)
- 借り手の収入・資産状況(返済能力)
- 貸し手の口座から引き出された金額と時期
- 不動産・車などの高額財産の取得タイミングと資金の出所
不動産を取得した直後に親の口座から大きな引き出しがあった場合、税務署は資金の関連を必ず調べます。高額財産の取得時は特に注意が必要です。
「認定贈与」と指摘されたときの対応とは?
税務署から「これは贈与に該当する」と指摘された場合、まず落ち着いて事実関係を整理しましょう。借用書・返済履歴・借り手の収入証明など、貸し借りを証明できる資料を集めます。
反論できる根拠がある場合は、税理士に依頼して対応するのが確実です。税務署の指摘がすべて正しいわけではなく、適切な証拠があれば認定を覆すことができるケースもあります。
指摘後に追徴課税される金額の目安とは?
贈与と認定された場合、贈与税の本税に加えて以下のペナルティが発生します。
| ペナルティの種類 | 発生条件 | 加算率(目安) |
|---|---|---|
| 無申告加算税 | 申告していなかった場合 | 本税の15〜20% |
| 延滞税 | 期限を過ぎた納税 | 年最大14.6% |
| 重加算税 | 仮装・隠蔽が認められた場合 | 本税の35〜40% |
重加算税は意図的な隠蔽が認められたときに適用されます。悪意がなくても実態が伴わない「形式だけの貸し借り」は重加算税の対象になり得ます。
友人・知人間での融資で注意すべき税務リスクとは?
個人間融資の税務リスクは、親族間だけの問題ではありません。友人・知人との貸し借りにも同様のルールが適用されます。
親族間と友人間で税務上の扱いに違いはあるか
税務上の扱いは、親族か友人かで大きく変わるわけではありません。贈与税は「個人から個人へ財産が移転したとき」にかかる税金であり、関係性は問いません。
ただし、親族間のほうが「贈与が前提の資金移動」として調査の目が向きやすいことは事実です。友人間でも多額の金銭の移動があれば、同様に贈与認定のリスクがあります。
口頭・PayPay送金での貸し借りに潜むリスクとは?
スマートフォン決済での送金や、口頭の約束だけの貸し借りは記録が残りにくい問題があります。PayPayやLINE Payの送金履歴は、贈与の証拠にも貸し借りの証拠にもなり得ます。
送金の際に「メモ欄」に「○○の貸付金」などと記入しておくことで、目的を記録として残せます。デジタル送金でも借用書は別途作成しておきましょう。
後から借用書を作成するときの注意点とは?
「もう貸してしまったが、借用書がない」という場合でも、後から作成することは可能です。ただし、作成日を遡らせる(バックデート)ことは絶対にしてはいけません。
現在の日付で作成し、「本書面は○年○月○日に行われた金銭の貸借に基づくものです」と明記する方法が適切です。返済の事実が既にあれば、その履歴と合わせて提示することで一定の証拠力になります。
相続発生時に個人間融資の残債はどう扱われるか
貸し手が亡くなったとき、未返済のお金はどうなるのかは見落とされやすいポイントです。
貸し手が死亡した場合の返済義務とは?
貸し手が死亡しても、貸し付けたお金が自動的に免除されるわけではありません。未返済の残債は「貸付金」として相続財産に含まれ、相続人が受け取る権利を引き継ぎます。
つまり、親に借りていたお金は、親が亡くなった後は兄弟など他の相続人に返さなければならない借金になります。「親が死んだら帳消し」ではない点を理解しておきましょう。
残債は相続財産として計上される理由とは?
貸付金は金銭債権であり、相続財産に含まれます。相続税の計算上、貸付金の残高が相続財産の評価額に加算されます。
貸し手側の相続税負担が増えることになるため、高額な個人間融資は相続税対策の観点からも検討が必要です。
相続人への返済と遺産分割協議上の取り扱いとは?
遺産分割協議では、誰が「貸付金を受け取る権利」を引き継ぐかを決める必要があります。借り手が相続人の1人でもある場合、自分の相続分から相殺されることも多いです。
金銭消費貸借契約書が残っていれば、遺産分割協議でのトラブルを防ぎやすくなります。親子間での貸し借りは相続対策とセットで考えることが重要です。
相続税の持ち戻しルールと個人間融資の関係とは?
個人間融資が贈与と認定されると、相続税の計算にも影響します。
2024年以降の持ち戻し期間7年とは何か
2024年1月1日以降の贈与から、相続開始前7年以内の贈与は相続財産に加算されるルールに変わりました。それ以前は3年以内でした。
個人間融資が贈与と認定された場合、その融資のタイミングが相続開始の7年以内であれば相続税の計算に影響します。融資の時期も含めて記録を管理しておく必要があります。
融資が贈与と認定された場合の相続税への影響とは?
贈与と認定された金額が相続財産に加算されると、相続税の課税対象額が増えます。相続税の税率は最大55%にのぼるため、影響は軽視できません。
贈与税と相続税の二重課税を防ぐための精算制度もありますが、申告をしていない場合は適用されないこともあります。申告漏れは後になるほどリスクが大きくなります。
定期贈与とみなされないための注意点とは?
毎年同じ金額を決まった時期に返済・贈与している場合、「最初から合計額を贈与する意図があった定期贈与」とみなされるリスクがあります。
定期贈与とみなされると、最初の時点で全額に贈与税がかかる可能性があります。金額・時期・目的を変えながら資金移動することが、定期贈与の認定を防ぐポイントです。
法定利率の変更が個人間融資に与える影響とは?
利率の設定は、税務上の判断に直結します。正しい基準値を把握しておきましょう。
2020年民法改正による法定利率3%への変更とは?
2020年4月に改正民法が施行され、法定利率が年5%から年3%に引き下げられました。個人間融資における「適切な利率の基準」は、この法定利率3%を参考に設定するのが一般的です。
旧利率の年5%を使って利息相当額を計算している古い記事の情報は、現在では誤りになります。必ず現行の3%を基準に確認しましょう。
利息設定の基準として法定利率を使う理由
民法第404条に定められた法定利率は、「当事者間で利率を決めていない場合の基準」です。個人間融資で利息を設定する際、この利率を参考にすることで「市場実態に沿った金利」と主張しやすくなります。
利率を著しく下回る設定にすると、差額部分がみなし贈与と判断されるリスクが高まります。
旧利率5%時代の契約が残っている場合の取り扱い
2020年4月以前に締結した契約では、利率が年5%で設定されているケースがあります。この場合、契約時の利率がそのまま適用されます。
改正後に改めて契約を結び直す場合は、現行の法定利率3%が基準となります。古い契約が残っている場合は内容の確認をお勧めします。
贈与税の申告が必要になる場合の手続きとは?
万が一、贈与税の申告が必要になったときの基本的な流れを確認しておきましょう。
申告期限と申告先の確認
贈与税の申告期限は、贈与を受けた翌年の2月1日から3月15日です。申告先は、贈与を受けた人の住所地を管轄する税務署です。
申告期限を過ぎると無申告加算税や延滞税が発生します。対象かどうか迷う場合は、早めに税理士に確認することをお勧めします。
無申告加算税・延滞税が発生するケースとは?
申告が必要だったのに申告しなかった場合は無申告加算税、納税が遅れた場合は延滞税が発生します。いずれも「知らなかった」は理由になりません。
申告をするかどうか迷っている間も、延滞税は日割りで積み上がっていきます。早期に状況を確認・申告することが最善策です。
自主申告と税務調査後の申告で何が変わるか
税務調査が入る前に自主的に申告した場合と、調査後に申告した場合では、ペナルティの金額に差があります。
| タイミング | 無申告加算税率 |
|---|---|
| 税務調査の事前通知前に自主申告 | 5% |
| 事前通知後・調査前に申告 | 10〜15% |
| 税務調査後に申告 | 15〜20% |
早期の自主申告は、ペナルティを大幅に抑える効果があります。「バレないかもしれない」という判断は、発覚後のリスクを高めるだけです。
個人間融資のトラブルを防ぐ専門家への相談タイミングとは?
「自分で判断できるか不安」という場合、専門家への相談を検討しましょう。
税理士に相談すべき金額の目安とは?
明確な線引きはありませんが、目安として借入総額が500万円を超える場合は税理士への相談が推奨されます。また、相続が絡む場合・海外送金が絡む場合は金額に関わらず相談した方が安全です。
税理士への相談費用は、追徴課税のリスクと比較すれば割安な保険と考えられます。
FP・弁護士・税理士それぞれの役割の違いとは?
| 専門家 | 相談できること |
|---|---|
| 税理士 | 贈与税・所得税・相続税の申告、税務調査対応 |
| 弁護士 | 貸し借りのトラブル・返済請求・契約書の法的効力 |
| FP(ファイナンシャルプランナー) | 家計全体の資金計画・贈与のシミュレーション |
税務上の問題であれば税理士、返済トラブルに発展した場合は弁護士が適切な相談先です。
相談前に準備しておくべき書類とは?
専門家への相談をスムーズに進めるために、以下の書類を事前に整理しておきましょう。
- 借用書・金銭消費貸借契約書(あれば)
- 貸し手・借り手の通帳コピー(お金の移動が確認できる部分)
- 返済履歴がわかる振込明細
- 不動産・高額財産の登記情報(該当する場合)
準備が整っているほど、専門家への相談時間を短縮でき、費用も抑えられます。
FAQ:個人間融資と税金でよくある疑問
個人間融資と税金に関して、よく寄せられる疑問をまとめました。
親から無利息で100万円借りた場合、贈与税はかかりますか?
元本の100万円については、返済の実態がある限り贈与税はかかりません。利息相当額については、法定利率3%で計算すると年間3万円です。年間110万円の基礎控除内に十分収まるため、贈与税は発生しません。
ただし、返済期日を明確にした借用書を作成し、実際に振込で返済することが条件です。「借りた証拠」がなければ、元本ごと贈与と認定されるリスクがあります。
借用書がない場合、今から作成しても効果はありますか?
効果はあります。ただし、作成日を遡らせることは絶対にしてはいけません。現在の日付で作成し、「本書面は○年○月○日の貸し借りを確認するものである」と記載する方法が適切です。
既に返済実績がある場合は、振込履歴と合わせて提示することで証明力が増します。今からでも対応できることは多いため、早めに着手しましょう。
友人への貸付金を回収できなかった場合、損失として申告できますか?
個人が友人に貸したお金が回収できなくなった場合、原則として雑所得や事業所得の損失として申告することはできません。個人間融資の貸し倒れは、税務上は「回収できなかった元本は贈与した」とみなされることがあります。
回収の見込みがない場合でも、内容証明郵便での督促や法的手段を通じた回収努力の記録を残しておくことが重要です。
毎年110万円以下の返済を受け取っているだけで税務調査は来ますか?
贈与税が非課税の範囲内であっても、税務調査が来る可能性はゼロではありません。特に、不動産取得や高額の口座移動と同時期にある場合は調査の対象になりやすいです。
非課税だからといって記録を残さなくていいわけではありません。「なぜこのお金が振り込まれたのか」を説明できる証拠は常に保管しておきましょう。
個人間融資の利息収入はいくらから確定申告が必要ですか?
給与所得のある会社員であれば、利息収入などの雑所得が年間20万円を超えた場合に確定申告が必要です。個人事業主の場合は、金額に関わらず事業に関連する収入として申告対象に含まれます。
年間20万円以下でも、住民税の申告は必要なケースがあります。確定申告が不要でも住民税申告が必要な場合があるため、お住まいの市区町村で確認することをお勧めします。
まとめ
個人間融資は、返済の実態と証拠があれば元本に税金はかかりません。問題になるのは「証拠がないまま大金が動いた場合」と「利息の扱いを曖昧にした場合」です。借用書の作成・振込での返済・現実的な返済計画という3点が、税務上の安全を確保する基本です。
知っておいてほしいのは、税務調査は「怪しい」と判断した場合に通知なく調査に入ることがある点です。特に不動産取得や高額財産の購入時は、資金の出所まで調べられます。贈与と認定された後から対策するよりも、貸し借りの時点で正しく手続きを整えておくほうが、手間もコストも少なくなります。今手元に借用書がない場合は、今日付で作成することから始めてみてください。
参考文献
- 「No.4420 親から金銭を借りた場合」 – 国税庁
- 「No.4402 贈与税がかかる場合」 – 国税庁
- 「相続税法基本通達9-10(利子を付さない金銭の貸し付けをした場合)」 – 国税庁
- 「民法第404条(法定利率)」 – e-Gov法令検索
- 「親子・兄弟間のお金の貸し借り、税金はどうなる?贈与になるケースや注意点を解説」 – 税理士ドットコム
- 「みなし贈与とは?個人間のやり取りで該当するケースや対策を解説」 – ViVi相続税理士法人
- 「【見本・テンプレート付】家族間での借金が贈与にならない借用書の書き方を解説」 – 税理士法人チェスター
- 「親子間や夫婦間といった個人間の借入金(貸付金)の利息は支払う必要があるか」 – 深作公認会計士事務所
- 「家族間でのお金の無利息借り入れと贈与税」 – 辻・本郷税理士法人
- 「お金を「借りた」ことにすれば贈与税はかからない?」 – All About


