妊娠中だけでなく、生まれてすぐにも不足しがちなビタミンがあります。ビタミンKは血液凝固に関わるビタミンで、不足すると血が固まらず出血しやすくなります。日本ではビタミンK2シロップとして新生児に与えられます。ちょうど、森戸やすみ先生がコラムを書いてくださっています。
ところでみなさん、ビタミンAからビタミンEまではご存じでしょう。どのビタミンも名前ぐらいは聞いたことはあるでしょうし、サプリメントとして摂取している人もいるでしょう。しかし、ビタミンFって聞いたことあります? ビタミンG、H、I、Jもほとんど聞いたことがないはずです。ところが、ビタミンKは血液凝固に必要なビタミンとして知られています。FからJをすっ飛ばして、ビタミンEの次がいきなりビタミンKなのはなぜでしょうか?
ビタミンという名称が提唱されたのは、1912年です。生物が生きていくのに必要なのに体内で合成できない微量の物質が存在し、不足すると病気を引き起こすという考え方が体系化されました。当初はビタミンAとビタミンBしかありませんでしたが、新しいビタミンが発見されるたびにビタミンC、ビタミンD……と順番に命名されました。
実はビタミンFと呼ばれる物質もありましたが、後に脂肪酸であることがわかり、ビタミンの仲間から外されました。他にもいったんは名前がついたものの、既存のビタミンを誤認していたり、ビタミンでないことが後でわかったりして、欠番になったものがたくさんあります。
ビタミンKは、デンマークの生化学者ヘンリク・ダムによって発見されました。ダム本人のノーベル賞受賞講演によれば、Kという文字は、他のビタミンに使われていないアルファベットの中の最初の文字だったとのことです。つまり、ビタミンKの発見当時は、ビタミンJまで命名されていたわけです。
ところが「Kはビタミンが発見された順番からではなく、凝固の意味であるkoagulationの頭文字から命名された」という説もあります。どうやら正確ではないようです。ダムは受賞講演で「Kは、たまたま偶然に、凝固を意味する”koagulation”の頭文字でもあった」と述べています。
なぜ不正確な説が生まれたのか。私の想像ですが、ビタミンFからビタミンJまでが医学の歴史から消えて長い時間がたち、存在が忘れられた一方で、なぜEの次がKなのかを説明できるもっともらしい説が伝言ゲームのように伝えられるうちに、通説の一つになってしまったのではないでしょうか。
ちなみに凝固を意味する英語は”coagulation”です。”koagulation”が何語なのかという点についても混乱があり、ドイツ語、オランダ語、デンマーク語と諸説あります。ノーベル賞受賞講演によれば、「スカンディナビア語(Scandinavian)およびドイツ語」です。ヘンリク・ダムはデンマーク人ですし、スカンディナビア語はデンマーク語も含みますので、デンマーク語由来とするのはわかりますが、オランダ語由来説がどこからきたのかよくわかりません。
※参考「ヘンリク・ダムによるノーベル賞受賞講演(英文)」
(https://www.nobelprize.org/uploads/2018/06/dam-lecture.pdf)
朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/SDI201810252901.html
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Source: ダイエット速報@2ちゃんねる
ビタミンEの次がビタミンKなのはなぜ?