その後、政府が学校の休校とイベントの自粛を要請したことを受け、従業員の出勤を停止し、本格的にテレワークを導入する企業が増加している。
東京都の新型コロナウイルス感染症対策サイトによれば、7時30分から9時30分まで朝ラッシュ時間帯の都営地下鉄の利用者数は、コロナウイルス騒動が拡大する前の1月20日から24日と比較して、
2月17日~21日は5%弱の減少、2月25日~28日は10%弱の減少だったのが、3月2日~5日は20%以上と大幅に減少しているという。
JR東日本も3月3日、山手線の利用者数が1割から2割程度減少していると発表しており、東京圏の通勤電車は概ね同程度、混雑が緩和しているとみられる。
こうした対策が功を奏しているのか、電車内での濃厚接触に端を発する感染拡大は現在のところ報告されていない。
定期的にドアが開いて換気がなされ、マスク着用者が多く、会話をしない満員電車の車内では感染が起こりにくい、との見方もあるが、政府の専門家会議は、
11日に発表した報告書の中で満員電車のリスクに初めて言及し、一定の条件が重なり合えば満員電車も感染拡大の要因となり得ると注意を促した。
報告によれば、これまで感染が確認された場に共通するのは、
(1)換気の悪い密閉空間
(2)人が密集していた
(3)近距離での会話や発声が行われた
という3つの条件が同時に重なった場だという。満員電車の車内は、(1)と(2)が当てはまる空間だが、通常、会話はないため感染は広がっていないとしながらも、場合によっては(3)も当てはまるため注意が必要だとしている。
確かに朝の通勤ラッシュ時間帯の車内で会話をする人はほとんどいないが、帰宅時間帯になれば、それなりに混雑した車内で会話をしている人は珍しくない。
厚生労働省は互いに手を伸ばせば届くような1~2mの距離での接触は感染リスクが高いと説明しているが、これは身体が密着するほどの満員電車のみならず、
ロングシートに着席した乗客と、その前でつり革に掴まる乗客の間隔や、向かい合わせのボックスシートで乗客が向き合う間隔も当てはまる。
つまり感染リスクの高い(1)(2)(3)が重なる状況は、これまでも各地で発生していたと考えられるが、それによる感染が確認されていないのは、単に見過ごされているだけなのか、
それでも感染が起こらない別の要因があるのか、あるいは幸運にも感染が発生していないだけなのかは分からない。
いずれにせよ今後、感染者数がさらに増加すれば、満員電車に起因する感染拡大はいつ起きてもおかしくないと言えるだろう。
こうした事態に対して鉄道事業者は、前述の時差出勤やテレワークの奨励の他に、どのような対策を行っているのだろうか。
JR東日本は電車が車庫に戻ってくる数日から2週間の周期で、車内の手すりやつり革のアルコール消毒を行っているという。
また東京メトロも2月17日以降、15日間周期で行われる車内清掃のタイミングで、吊り革や手すりのアルコール消毒を行っている。
厚生労働省によれば、ウイルスの膜を壊す濃度の高いアルコールは、新型コロナウイルスに対する不活化効果が確認されているという。
新型コロナウイルスは金属、ガラス、プラスチックなどの無生物の表面で最大9日間生存できるとの報告もあり、車内の消毒も一定の効果があると考えられる。
しかし、アルコール消毒は付着しているウイルスを除去するものであり、アルコールは揮発性が高いため消毒効果の持続時間は長くはない。
約2週間周期で行われる消毒の間にも、手すりやつり革を介した接触感染は起こりうると考えるべきだろう。
https://friday.kodansha.co.jp/article/101988
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Source: ダイエット速報@2ちゃんねる
満員電車で『新型コロナ』感染は起きるのか?鉄道のプロが解説