個人間融資の利息上限は年20%?109.5%?違法ラインと対処法

個人間融資の利息上限は年20%?109.5%?違法ラインと対処法 個人間融資

友人からお金を借りるとき、利息は何%まで許されるのでしょうか。個人間融資の利息上限を調べると、「年20%」と「年109.5%」という2つの数字が出てきます。どちらが正しいのか、迷ってしまいますよね。

答えは「どちらも正しい」です。ただし意味がまったく違います。この記事では、個人間融資の利息上限を定める2つの法律の関係を整理します。あわせて、違法になるラインや高すぎる利息を請求されたときの対処法も解説します。借りる人にも貸す人にも役立つ内容です。

  1. 個人間融資の利息上限とは?2つの法律で決まる仕組み
    1. 利息制限法が定める上限金利(年15%・18%・20%)
    2. 出資法が個人の貸し借りに定める上限金利(年109.5%)
    3. 貸金業法が個人間の貸し借りに適用されない理由とは?
  2. なぜ上限が「年20%」と「年109.5%」の2つあるのか?
    1. 民事上のルール(利息制限法)と刑事罰のルール(出資法)の違い
    2. 上限を超えたときに起きることの違い(超過分無効/懲役・罰金)
    3. 実務上は年20%以下に収めるべきと言われる理由とは?
  3. 元本別の上限利息はいくら?計算方法と具体例
    1. 上限利息の計算式(元本×上限金利×借入期間)
    2. 10万円・30万円・100万円を借りた場合の上限利息シミュレーション
    3. うるう年だけ上限が年109.8%になる理由とは?
  4. 利息の取り決めがない個人間の借金はどうなる?
    1. 取り決めがなければ原則無利息になる根拠
    2. 民法の法定利率(年3%)が適用される場面
    3. 無利息・返済なしの貸し借りで贈与税がかかるケースとは?
  5. 遅延損害金にも上限はある?利息との違い
    1. 遅延損害金の上限は利息制限法の上限金利の1.46倍
    2. 利息と遅延損害金は何が違うのか?
    3. 借用書に遅延損害金を定めるときの注意点
  6. SNS・掲示板の個人間融資はなぜ危険と言われるのか?
    1. 個人を装ったヤミ金業者が紛れ込む手口
    2. 法外な利息・個人情報悪用・違法な取り立てにつながる流れ
    3. 金融庁が注意喚起している内容とは?
  7. 個人でも違法になるのはどんなケース?
    1. 年109.5%を超える利息契約は刑事罰の対象になる
    2. 反復継続して貸すと無登録営業(貸金業法違反)になる理由
    3. 借りた側も処罰されるのか?
  8. 上限を超える利息を請求されたらどうすればいい?
    1. 超過分の利息は支払いを拒否できる根拠
    2. 払いすぎた利息を取り返す方法(返還請求の流れ)
    3. 弁護士・司法書士・警察に相談すべきケースの見分け方
  9. 貸す側・借りる側がトラブルを防ぐ借用書の作り方
    1. 借用書に最低限記載すべき項目
    2. 金利・返済方法・遅延損害金の適法な書き方
    3. 公正証書にしておくメリットとは?
  10. 個人間融資に頼らずお金を用意する方法は?
    1. 国や自治体の公的貸付制度を確認する
    2. 正規の貸金業者かどうかを登録番号で見分ける方法
    3. 返済がすでに苦しい場合の相談先(債務整理という選択肢)
  11. 個人間融資の利息上限に関するよくある質問(FAQ)
    1. 友人に10万円を貸すとき、利息はいくらまで取れますか?
    2. 親子や家族間の貸し借りにも上限金利は適用されますか?
    3. 「10日で1割(トイチ)」の利息は違法ですか?
    4. 利息をまったく取らない場合、税金はかかりますか?
    5. 個人間の上限金利は今後引き下げられる可能性がありますか?
  12. まとめ
    1. 参考文献

個人間融資の利息上限とは?2つの法律で決まる仕組み

個人同士のお金の貸し借りにも、法律のルールがあります。関係するのは利息制限法と出資法の2つです。まずはそれぞれが定める上限金利を確認しましょう。ここが理解できると、後の話がすっと入ってきます。

利息制限法が定める上限金利(年15%・18%・20%)

利息制限法は、借りる人を高い利息から守るための法律です。上限金利は元本の金額によって3段階に分かれています。

元本の金額 上限金利
10万円未満 年20%
10万円以上100万円未満 年18%
100万円以上 年15%

この上限は、友人や家族との貸し借りにも適用されます。上限を超えた部分の利息は法律上無効になり、支払う義務がありません。「個人同士なら自由に決められる」というのは誤解です。

出資法が個人の貸し借りに定める上限金利(年109.5%)

もう1つの法律が出資法です。正式名称は「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」といいます。こちらは刑事罰の対象になるラインを定めています。

貸金業者ではない個人が貸す場合、出資法の上限は年109.5%です。1日あたりに直すと0.3%になります。この割合を超える利息の契約をすると、貸した人は処罰されます。金額の大小に関係なく、このラインは変わりません。

貸金業法が個人間の貸し借りに適用されない理由とは?

お金の貸し借りに関する法律には、貸金業法もあります。総量規制や取り立て規制で知られる法律です。ただし貸金業法が対象とするのは、登録を受けて「業として」お金を貸す業者です。

友人に1回だけお金を貸すような場合は、業として貸すことに当たりません。だから貸金業法の適用はないのです。ここが業者からの借入との大きな違いになります。ただし例外もあります。個人でも繰り返し貸せば「業」とみなされることがあり、この点は後の章で詳しく説明します。

なぜ上限が「年20%」と「年109.5%」の2つあるのか?

年20%と年109.5%。数字の差が大きすぎて、混乱しやすいポイントです。この2つは「役割の違う上限」だと理解すると整理できます。片方は民事のルール、もう片方は刑事のルールです。

民事上のルール(利息制限法)と刑事罰のルール(出資法)の違い

利息制限法は、契約の効力を決める民事上のルールです。上限を超えても、貸した人が逮捕されるわけではありません。一方の出資法は刑罰法規です。超えれば犯罪になります。

つまり個人間融資の利息には、2本のラインが引かれています。年15〜20%を超えると民事上アウト、年109.5%を超えると刑事上もアウトという構造です。同じ「上限」という言葉でも、性質がまったく違うのです。

上限を超えたときに起きることの違い(超過分無効/懲役・罰金)

利息制限法の上限を超えた場合、超えた部分の利息は無効です。借りた人は超過分を払う必要がありません。すでに払っていれば、返還を求めることもできます。

出資法の上限を超えた場合は、話が重くなります。個人でも年109.5%を超える利息の契約をすると、5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。契約しただけでも、受け取っただけでも、請求しただけでも対象です。

法律 上限金利 超えた場合
利息制限法 年15〜20%(元本による) 超過部分が無効。罰則なし
出資法(個人の貸し借り) 年109.5% 刑事罰の対象

実務上は年20%以下に収めるべきと言われる理由とは?

「刑事罰がないなら、年20%を超えて設定してもいいのでは」と思うかもしれません。しかしそれはおすすめできません。超過分は無効なので、後から返還請求される可能性が残るからです。

裁判になれば、貸した側が負けます。取りすぎた利息を返すだけでなく、人間関係も壊れます。だから実務では、元本に応じた利息制限法の上限(年15〜20%)以内に収めるのが基本です。トラブルを避けたいなら、この範囲を守ってください。

元本別の上限利息はいくら?計算方法と具体例

上限金利がわかったら、次は実際の金額です。「30万円借りたら利息はいくらまで?」という疑問に、計算式と具体例で答えます。数字で見ると、判断の基準がはっきりします。

上限利息の計算式(元本×上限金利×借入期間)

上限利息は、次の式で計算できます。

  • 上限利息 = 元本 × 上限金利 × 借入期間(年)

たとえば期間が6か月なら、借入期間は0.5として計算します。日割りにする場合は「日数÷365」を掛けてください。

ポイントは、元本によって掛ける金利が変わることです。10万円未満なら20%、10万円以上100万円未満なら18%、100万円以上なら15%を使います。境目の金額をまたぐと上限金利そのものが下がる点に注意しましょう。

10万円・30万円・100万円を借りた場合の上限利息シミュレーション

1年間借りた場合の上限利息を計算してみます。

元本 適用される上限金利 1年間の上限利息
9万円 年20% 1万8000円
10万円 年18% 1万8000円
30万円 年18% 5万4000円
100万円 年15% 15万円

たとえば友人から30万円を借りて、1年後に「利息9万円を付けて返して」と言われたとします。これは年30%の計算です。上限の5万4000円を大きく超えているため、超えた3万6000円分は無効で、支払う義務がありません。

うるう年だけ上限が年109.8%になる理由とは?

出資法の条文をよく読むと、面白い規定があります。上限は「年109.5%」ですが、2月29日を含む1年については「年109.8%」とされているのです。

理由は、上限が1日あたり0.3%を基準に作られているからです。0.3%×365日で109.5%。うるう年は366日あるので、0.3%×366日で109.8%になります。数字が2つ出てくるのはこのためです。実務で意識する場面は少ないですが、条文の仕組みとして知っておくと混乱しません。

利息の取り決めがない個人間の借金はどうなる?

「利息の話は何もしないで借りた」というケースは多いものです。この場合、利息はどうなるのでしょうか。実は、業者からの借入とは逆の結論になります。ここを知らないと、貸す側は損をするかもしれません。

取り決めがなければ原則無利息になる根拠

個人間の貸し借りでは、利息を取る約束をしていなければ原則として無利息です。民法では、貸主は特約がなければ利息を請求できないと定められています。

つまり「言わなくても利息は付くだろう」は通用しません。利息を取りたいなら、貸す前に利息の合意をしておく必要があります。口約束でも合意は成立しますが、証明が難しくなります。書面に残すのが確実です。

民法の法定利率(年3%)が適用される場面

「利息を付ける」とだけ約束して、利率を決めていなかった場合はどうなるでしょうか。このときは民法の法定利率が適用されます。法定利率は2020年4月の民法改正で年3%になりました。3年ごとに見直される変動制です。

法定利率が使われる場面は、もう1つあります。返済が遅れたときの遅延損害金です。遅延損害金の利率を決めていなければ、法定利率で計算します。利率を決めていない=ゼロではないという点は、借りる側も覚えておきましょう。

無利息・返済なしの貸し借りで贈与税がかかるケースとは?

家族間の貸し借りでは、税金の問題も出てきます。無利息で貸した場合、利息に相当する利益が贈与とみなされることがあるのです。国税庁もこの考え方を示しています。

さらに注意したいのは、返済の実態がないケースです。「あるとき払いでいい」と言って返済が進まないと、元本ごと贈与と判断されるおそれがあります。贈与税を避けたいなら、返済期日と返済方法を決めて、実際に返済の記録を残すことが大切です。振込で返済すれば、証拠が自然に残ります。

遅延損害金にも上限はある?利息との違い

返済が遅れたときに発生するのが遅延損害金です。「遅れたら利息を倍にする」といった約束は有効なのでしょうか。実は遅延損害金にも法律の上限があります。貸す側が借用書を作るときに、必ず知っておきたい知識です。

遅延損害金の上限は利息制限法の上限金利の1.46倍

個人間の貸し借りでは、遅延損害金の上限は利息制限法の上限金利の1.46倍と定められています。元本ごとに整理すると次のとおりです。

元本の金額 利息の上限 遅延損害金の上限
10万円未満 年20% 年29.2%
10万円以上100万円未満 年18% 年26.28%
100万円以上 年15% 年21.9%

この上限を超える定めをしても、超えた部分は無効です。「遅れたら年50%」のような条項は、上限を超える部分に効力がありません。

利息と遅延損害金は何が違うのか?

利息は、お金を借りている期間に対する対価です。約束どおり返していても発生します。一方の遅延損害金は、返済が遅れたことに対するペナルティです。返済期日を過ぎて初めて発生します。

両者は性質が違うため、上限も別々に定められています。期日までは利息、期日を過ぎたら遅延損害金と切り替わるイメージです。同じ期間に両方を二重で請求することはできません。

借用書に遅延損害金を定めるときの注意点

貸す側の立場なら、遅延損害金の条項は入れておくべきです。定めがないと法定利率の年3%しか請求できず、返済を促す力が弱くなります。

書き方はシンプルで構いません。「支払を遅滞したときは、年○○%の遅延損害金を支払う」と明記します。利率は上限の範囲内に収めてください。上限ぎりぎりにするか、控えめにするかは関係性しだいです。上限を超えない範囲で、数字を明確に書くことが何より重要です。

SNS・掲示板の個人間融資はなぜ危険と言われるのか?

ここまでは、知人同士の貸し借りを前提に説明してきました。しかし今、問題になっているのは別の形の個人間融資です。SNSや掲示板で見知らぬ相手とつながる取引には、法律の知識だけでは防げない危険があります。

個人を装ったヤミ金業者が紛れ込む手口

SNSには「お金貸します」「ブラックOK」といった書き込みがあふれています。一見すると親切な個人に見えます。しかしその多くは、個人を装ったヤミ金業者です。

個人のふりをする理由は単純です。貸金業の登録をせずに営業すれば違法だからです。「個人だから審査なしで貸せる」という誘い文句は、無登録の違法業者を疑うサインです。優しい言葉で近づき、貸した後に態度を変えるのが典型的な流れです。

法外な利息・個人情報悪用・違法な取り立てにつながる流れ

SNS型の個人間融資では、出資法の上限すら無視した利息が請求されます。「1週間で2割」なら年に換算して1000%を超えます。返せなくなると、被害はお金だけでは済みません。

申込み時に渡した身分証や勤務先の情報が悪用されます。家族や職場への連絡をほのめかす取り立ても起きています。金銭以外の見返りを要求する「ひととき融資」と呼ばれる手口も報告されています。一度個人情報を渡すと、関係を断つのが難しくなるのがこの取引の怖さです。

金融庁が注意喚起している内容とは?

金融庁は、SNS等を利用した個人間融資について公式に注意を呼びかけています。個人間の形をとっていても、違法な貸金業者が関わっている可能性が高いという内容です。

犯罪に巻き込まれる被害も紹介されています。国が名指しで警告している取引だと知れば、判断は変わるはずです。お金に困ったときこそ、この注意喚起を思い出してください。「個人間だから安全」という前提そのものが成り立たないのが実態です。

個人でも違法になるのはどんなケース?

「業者じゃないから何をしても平気」と考えるのは危険です。個人の貸し借りにも、明確な違法ラインがあります。貸す側が知らずに法律を破ってしまうケースもあるのです。3つのパターンを確認しましょう。

年109.5%を超える利息契約は刑事罰の対象になる

繰り返しになりますが、個人でも年109.5%を超える利息の契約は出資法違反です。5年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

身近な例で考えてみましょう。友人に10万円を貸して、10日後に11万円で返してもらう約束をしたとします。10日で1割の利息です。年利に直すと約365%になります。軽い気持ちの「10日で1割」でも、出資法違反の犯罪が成立します。

反復継続して貸すと無登録営業(貸金業法違反)になる理由

もう1つの落とし穴が、無登録営業です。営利の目的で反復継続してお金を貸すと、個人でも「業として」貸したと判断されます。業として貸すには、国か都道府県の貸金業登録が必要です。

登録なしで業として貸せば、貸金業法違反になります。SNSや掲示板で不特定多数に貸付を呼びかける行為は、反復継続の意思があるとみなされやすい典型例です。「貸します」と広く募集した時点でリスクが生じると考えてください。この場合、利息の上限も業者と同じ年20%で判断されます。

借りた側も処罰されるのか?

「違法な条件で借りてしまった自分も罪になるのか」と不安になる人もいるでしょう。安心してください。出資法や貸金業法で処罰されるのは貸した側です。借りた側に刑事罰はありません。

だからこそ、被害に遭ったら遠慮なく相談してください。「自分も悪いから言えない」と抱え込む必要はないのです。ただし処罰されないこととリスクがないことは別です。個人情報の悪用や取り立ての被害は借りた側に及ぶため、そもそも近づかないのが最善です。

上限を超える利息を請求されたらどうすればいい?

すでに高い利息を請求されている人に向けて、具体的な対処法をまとめます。法律はあなたの味方です。順番に行動すれば、状況は変えられます。1人で抱え込まないことが何より大切です。

超過分の利息は支払いを拒否できる根拠

利息制限法の上限を超える部分は、契約しても無効です。無効なものに支払義務はありません。相手が「約束しただろう」と迫ってきても、法律上は拒否できます。

やり取りは証拠に残しましょう。借用書、メッセージの履歴、振込記録を保管してください。支払いを拒否できるのは超過部分であり、元本と適法な範囲の利息の返済義務は残ります。ここを混同すると、こちらが不利になるので注意が必要です。

払いすぎた利息を取り返す方法(返還請求の流れ)

上限を超える利息をすでに払っていた場合、取り返せる可能性があります。流れは次のとおりです。

  • 借入額・返済額・日付を記録から整理する
  • 利息制限法の上限金利で計算し直す(引き直し計算)
  • 払いすぎた金額を相手に請求する
  • 応じなければ調停や訴訟を検討する

計算や交渉を自分だけで進めるのは大変です。まずは記録を集めることから始めるのが現実的な一歩になります。記録がそろえば、専門家への相談もスムーズです。

弁護士・司法書士・警察に相談すべきケースの見分け方

相談先は状況によって使い分けます。目安を表にまとめました。

状況 相談先
利息の計算・返還請求・交渉を任せたい 弁護士・司法書士
脅迫的な取り立て・身の危険を感じる 警察(緊急時は110番、相談は#9110)
どこに相談すべきか分からない 消費者ホットライン188

法テラスを使えば、収入によっては無料相談も利用できます。ヤミ金が絡むケースでは、専門家が介入した途端に請求が止まることも珍しくありません。危険を感じたら迷わず警察という基準だけは、必ず覚えておいてください。

貸す側・借りる側がトラブルを防ぐ借用書の作り方

個人間融資のトラブルの多くは、「言った」「言わない」の水掛け論から始まります。防ぐ方法はシンプルです。借用書を作ること。貸す側にも借りる側にも、借用書は身を守る盾になります。

借用書に最低限記載すべき項目

借用書に決まった書式はありません。ただし次の項目は必ず入れてください。

  • 作成日
  • 貸主と借主の氏名・住所
  • 借りた金額
  • お金を受け取った日
  • 返済期日と返済方法
  • 利息の利率
  • 遅延損害金の利率
  • 借主の署名・押印

金額は改ざんを防ぐため、「金100,000円」のように書くのが安全です。署名は借主が自筆で書くことで、証拠としての力が強くなります。コピーではなく、原本を貸主が保管しましょう。

金利・返済方法・遅延損害金の適法な書き方

利率は必ず年利で明記します。「年15%」のように書けば、計算で揉めません。もちろん利息制限法の上限内に収めてください。「10日で1割」のような書き方は、それ自体が違法の証拠になってしまいます。

返済方法は銀行振込がおすすめです。振込記録がそのまま返済の証拠になるからです。遅延損害金は前の章で説明した上限(利息の上限の1.46倍)の範囲で定めます。年利・振込・上限内の3点を押さえれば、借用書の骨格は完成です。

公正証書にしておくメリットとは?

金額が大きい場合は、公正証書の作成を検討しましょう。公正証書は公証役場で公証人が作る公文書です。証拠としての信頼性が格段に高くなります。

最大のメリットは強制執行の力です。「支払わないときは強制執行に服する」という文言(執行認諾文言)を入れておくと、裁判をせずに給与や預金の差押えに進めます。作成には数千円から数万円の手数料がかかります。それでも、裁判の時間と費用を省ける保険と考えれば十分に価値があります。

個人間融資に頼らずお金を用意する方法は?

高い利息の個人間融資に手を伸ばす前に、確認してほしい選択肢があります。公的な制度や正規の借入先です。状況によっては、借りる以外の解決策のほうが早いこともあります。

国や自治体の公的貸付制度を確認する

収入が少なくて生活に困っているなら、生活福祉資金貸付制度を確認してください。都道府県の社会福祉協議会が窓口です。低所得世帯などを対象に、無利子または低金利で貸付を行っています。

ひとり親家庭には母子父子寡婦福祉資金貸付金があります。公的貸付制度の金利は無利子〜年1.5%程度で、個人間融資とは比較になりません。審査や手続きに時間はかかります。それでも、まず相談する価値のある制度です。窓口は市区町村の社会福祉協議会や福祉担当課です。

正規の貸金業者かどうかを登録番号で見分ける方法

業者から借りるなら、正規の登録業者かを必ず確認します。方法は簡単です。金融庁の「登録貸金業者情報検索サービス」で、業者名や登録番号を検索するだけです。

登録番号は「○○財務局長(3)第○○号」のような形式です。カッコ内の数字は登録更新の回数を示します。検索して出てこない業者は無登録です。広告の雰囲気ではなく、登録の有無で判断する習慣をつけてください。登録番号をかたる偽装もあるため、番号と業者名の一致まで確認すると確実です。

返済がすでに苦しい場合の相談先(債務整理という選択肢)

借金の返済が回らないから個人間融資を探している。そんな状況なら、借り足すより債務整理を検討すべき段階かもしれません。債務整理には任意整理・個人再生・自己破産があります。

任意整理なら、将来の利息をカットして返済計画を立て直せます。個人再生や自己破産では、借金そのものを大きく減らす道もあります。弁護士や司法書士の初回相談は無料の事務所が多くあります。借金を借金で埋める前に、減らす方法を専門家に聞く。これが遠回りに見えて、いちばん確実な立て直しです。

個人間融資の利息上限に関するよくある質問(FAQ)

最後に、個人間融資の利息上限についてよくある質問に答えます。細かい疑問はここで解消してください。実際の相談で多いテーマを5つ選びました。

友人に10万円を貸すとき、利息はいくらまで取れますか?

元本10万円の場合、利息制限法の上限は年18%です。1年間貸すなら、利息は最大1万8000円になります。10万円「未満」なら年20%、10万円「以上」なら年18%と、ちょうど境目の金額なので注意してください。

利息を取るなら、貸す前に利率を合意して借用書に書きましょう。取り決めがなければ原則無利息です。後から「利息を付けて」とは言えないのが個人間のルールです。

親子や家族間の貸し借りにも上限金利は適用されますか?

適用されます。利息制限法も出資法も、相手が家族かどうかで区別しません。親子間でも年109.5%を超える利息契約は出資法違反になります。

家族間で気をつけたいのは、むしろ税金です。無利息や返済なしの貸し借りは、贈与とみなされる可能性があります。家族だからこそ借用書を作り、返済の記録を残すことをおすすめします。

「10日で1割(トイチ)」の利息は違法ですか?

違法です。10日で1割は年利に直すと約365%になります。出資法が個人に認める上限の年109.5%を大きく超えています。貸した側には刑事罰が科されます。

トイチはヤミ金の典型的な金利です。個人を名乗る相手でも、この条件を出してきたら違法業者を疑ってください。応じる義務はなく、超過分の支払いも不要です。

利息をまったく取らない場合、税金はかかりますか?

無利息で貸すと、利息相当額の利益が贈与とみなされることがあります。ただし利益が少額な場合は、課税されない扱いになるのが一般的です。国税庁は課税上弊害がない限り強いて課税しない旨を示しています。

問題になりやすいのは高額の貸付です。数百万円を無利息・返済計画なしで渡すと、元本ごと贈与と判断されるおそれがあります。高額なら税理士に相談してから貸すのが安全です。

個人間の上限金利は今後引き下げられる可能性がありますか?

出資法の上限は過去に何度も引き下げられてきました。制定当初は業者も年109.5%でしたが、段階的に下がり、2010年6月の改正で業者は年20%になりました。個人の年109.5%はその後も維持されています。

SNS型個人間融資の被害を受けて、個人の上限を見直すべきだという議論はあります。ただし2026年7月時点で、法改正はされていません。現時点の違法ラインは年109.5%のままと押さえておけば大丈夫です。

まとめ

個人間融資の利息上限は、民事上は年15〜20%、刑事罰のラインは年109.5%という2段構えでした。この枠組みを知っていれば、借りるときも貸すときも判断を間違えません。

今日できる行動は明確です。借りる予定があるなら、提示された利率を元本別の上限と照らし合わせてください。貸す予定があるなら、上限内の利率を借用書に明記してください。すでに高い利息を払っているなら、記録を集めて弁護士や司法書士に相談してください。なお、お金の貸し借りには利息のほかに消滅時効(原則5年)や連帯保証の問題も関わってきます。金額が大きい取引では、契約前にこれらの論点も専門家に確認しておくと安心です。

参考文献

  • 「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」-「e-Gov法令検索」
  • 「利息制限法」-「e-Gov法令検索」
  • 「貸金業法のキホン」-「金融庁」
  • 「SNS等を利用した個人間融資にご注意ください!」-「金融庁」
  • 「上限金利について【貸金業界の状況】」-「日本貸金業協会」
  • 「No.2606 金銭を貸し付けたとき」-「国税庁」