貯金が貯まったとき、ボーナスが入ったとき。「お金があったら買うべきものは何だろう」と考えたことはありませんか。せっかくの余裕資金です。無駄遣いで終わらせたくないですよね。
この記事では、お金があったら買うべきものを15個に絞って紹介します。選ぶための判断基準、後悔しやすい買い物、予算別の優先順位までまとめました。読み終わる頃には、自分が最初に買うべき1品が見えてくるはずです。
お金があったら買うべきものとは?
買うべきものを探す前に、まず「基準」をはっきりさせましょう。基準がないまま買い物をすると、金額の大きさに目を奪われます。ここでは判断の軸と、貯金とのバランスの考え方を整理します。
「価格以上の価値が残るもの」が答えになる理由とは?
結論はシンプルです。お金があったら買うべきものは、払った金額以上の価値が手元に残るものです。
たとえば10万円の家電を買ったとします。それが毎日30分の家事を減らしてくれるなら、1年で約180時間が戻ってきます。時給換算すれば、価格を超える価値です。逆に、買った瞬間だけ嬉しくて、翌月には存在を忘れるもの。これは金額に関係なく損な買い物です。
「高いか安いか」ではなく「何が残るか」。この視点を持つだけで、買い物の質は大きく変わります。
買うべきものを見分ける3つの判断基準とは?
価値が残る買い物には、共通点があります。次の3つです。
- 時間を生むか(家事や移動の負担を減らす)
- 健康を守るか(睡眠・体・心に良い影響がある)
- 毎日使うか(使用頻度が高いほど1回あたりのコストは下がる)
3つのうち2つ以上に当てはまるなら、買う価値は高いといえます。ドラム式洗濯乾燥機なら「時間」と「毎日」。マットレスなら「健康」と「毎日」。どれにも当てはまらないものは、一度立ち止まって考えてみてください。
判断に迷ったら、1回あたりの単価を計算するのも有効です。10万円でも毎日5年使えば、1日あたり約55円。缶コーヒーより安い計算になります。
貯金・投資とのバランスはどう考える?
「買うより貯めるべきでは」という迷いもあるはずです。目安として、生活費の3〜6か月分の貯金を確保してから買うと安心です。
株式会社ビズヒッツが男女500人に行った調査では、大金を手にしたときの使い道の1位は「旅行や趣味」でした。一方で、貯蓄や投資に回すという回答も多く見られます。つまり、使うか貯めるかは多くの人が迷うポイントなのです。
答えは二択ではありません。生活防衛資金を残したうえで、余剰分から買う。この順番を守れば、買い物への罪悪感は消えます。
なぜ買うものの選び方で満足度が変わるのか?
同じ10万円を使っても、満足が続く人とすぐ後悔する人がいます。差を生むのは金額ではなく選び方です。ここでは、満足度に差が出る理由を3つの角度から見ていきます。
同じ金額でも幸福度に差が出る理由とは?
人の満足度は「支払った金額」に比例しません。満足度を決めるのは、その買い物が生活をどれだけ変えたかです。
10万円のブランドバッグと、10万円のドラム式洗濯乾燥機。前者は使う日が限られます。後者は毎日の「干す・取り込む」をゼロにします。生活の変化量が大きいのは、明らかに後者です。
買う前に「これで毎日の何が変わるか」を言葉にしてみてください。答えが出てこないなら、その買い物は見送りのサインかもしれません。
使用頻度が高いものほど満足が続くのはなぜ?
満足が長続きする買い物には、接触回数の多さという共通点があります。
毎日触れるものは、そのたびに小さな快適さを感じられます。椅子、寝具、スマートフォン。1日に何度も使うものの質を上げると、快適な瞬間が1日に何十回も発生します。逆に、年に数回しか使わないものは、どれだけ高級でも満足を感じる機会そのものが少ないのです。
「特別な日のための贅沢」より「毎日の底上げ」。お金があったら買うべきものを選ぶときの、大切な視点です。
衝動買いが後悔につながりやすい理由とは?
衝動買いの多くは「欲しい」と「必要」の混同から生まれます。
セールの値札、SNSで見た誰かの持ち物、期間限定の文字。これらは「今すぐ買う理由」を外から与えてくるだけです。自分の生活課題から出た「必要」ではありません。だから家に届いた瞬間、熱が冷めます。
対策は簡単です。欲しいと思ってから48時間待つこと。2日経ってもまだ欲しいなら、それは本物の「必要」に近い欲求です。多くの衝動は、この48時間で消えていきます。
お金があったら買うべきもの15選
ここからが本題です。「時間・健康・毎日」の3基準をもとに、お金があったら買うべきものを15個紹介します。価格の目安も添えたので、自分の予算と照らしながら読み進めてください。
1.ドラム式洗濯乾燥機
家事の時短効果でいえば、最有力の候補です。「洗う・干す・取り込む」のうち、干すと取り込むが消えます。
1回の洗濯で浮く時間は約20〜30分。週5回の洗濯なら、月に約10時間が戻る計算です。相場はドラム式で13万〜30万円前後(執筆時点)。決して安くありません。それでも「もっと早く買えばよかった」という声が最も多い家電の1つです。
雨の日や花粉の季節に外干しできないストレスも消えます。共働き世帯や子育て世帯なら、優先度は最上位クラスです。
2.ロボット掃除機
床掃除を「自分の仕事」から外せるアイテムです。外出中に勝手に掃除が終わります。
価格帯は3万〜15万円前後と幅があります(執筆時点)。エントリーモデルでも、毎日の掃除機がけからは解放されます。床にモノを置かない習慣が自然と身につくという副次効果もあります。部屋が散らかりにくくなるのです。
掃除が苦手な人ほど効果を実感しやすいアイテムです。「掃除しなきゃ」という心理的な負担が消えるだけでも、買う価値があります。
3.食器洗い乾燥機
毎食後の皿洗いを手放せます。1日あたり約20〜40分の時短です。
工事不要のタンク式なら3万〜5万円前後で導入できます(執筆時点)。賃貸住まいでも設置しやすいのが魅力です。手洗いより節水になる機種が多い点も見逃せません。水道代の節約効果で、長期的にはコストの一部を回収できます。
「食後にシンクへ皿が溜まっていく光景」がなくなる効果は想像以上です。夕食後の時間の質が変わります。
4.良質なマットレス・寝具
人生の約3分の1は睡眠時間です。寝具への支出は、人生の3分の1の質を直接買う投資といえます。
マットレスの相場は2万〜6万円程度から。高価格帯なら10万円を超えます(執筆時点)。睡眠の質が上がると、日中の集中力や疲労回復に差が出ます。腰痛や肩こりに悩む人なら、体に合う寝具への交換で症状が軽くなるケースもあります。
枕やシーツから替えるだけでも効果はあります。予算が限られるなら、まず枕からで十分です。
5.オフィスチェア・デスク環境
在宅ワークやデスク作業が長い人の必需品です。座る時間が1日8時間なら、寝具と同じ理屈で投資対象になります。
良い椅子を選ぶポイントは次の通りです。
- メッシュ素材で蒸れにくい
- 腰当て(ランバーサポート)がある
- 高さやリクライニングの細かい調整ができる
相場は3万〜15万円前後(執筆時点)。ただし椅子は体との相性が大きいアイテムです。必ず一度座ってから買うことをおすすめします。高い椅子でも、合わなければ意味がありません。
6.高性能なパソコン・スマートフォン
毎日、最も長く触れる道具かもしれません。動作の遅さは、小さなストレスの積み重ねです。
アプリの起動に3秒余計にかかるとします。1日50回操作すれば150秒。年間では約15時間のロスです。処理速度への投資は、そのまま時間への投資になります。仕事や学習で使う人なら、生産性への影響はさらに大きくなります。
買い替えの目安は、動作の遅さを「我慢している」と自覚したときです。ストレスを感じながら使い続ける期間こそが、いちばんの無駄になります。
7.電動アシスト自転車
坂道や長距離の移動が一気に楽になります。相場は10万〜18万円前後です(執筆時点)。
車を持つほどではないけれど、徒歩圏より行動範囲を広げたい。そんな人に合う選択肢です。保育園の送迎がある家庭では、生活必需品といえるレベルで支持されています。維持費が車と比べて圧倒的に安い点も魅力です。
行動範囲が広がると、買い物先や外出先の選択肢が増えます。移動の負担が減るだけでなく、生活そのものが広がる買い物です。
8.空気清浄機・除湿機
花粉症やアレルギー体質の人には、薬より先に検討してほしいアイテムです。
空気清浄機の相場は1万〜3万円程度(執筆時点)。部屋に入り込んだ花粉やハウスダストを減らしてくれます。除湿機は部屋干し派の強い味方です。近年の住宅は気密性が高く、湿気がこもりやすい構造になっています。カビ対策としても機能します。
症状や不快感が「ある状態」に慣れてしまっている人ほど、導入後の変化に驚きます。健康を守る基準に真正面から当てはまる買い物です。
9.歯列矯正・デンタルケア
歯は一度失うと戻りません。だからこそ、お金があるタイミングでの投資に向いています。
歯列矯正の費用は数十万〜100万円超と高額です(執筆時点)。それでも見た目の印象と噛み合わせの両方に、数十年単位で効き続けます。矯正まで踏み込まなくても、定期検診とクリーニングの習慣化だけで将来の治療費は大きく変わります。
年を取ってから最も後悔する投資先の1つが歯だといわれます。若いうちに手を打つほど、費用対効果は高くなります。
10.医療脱毛・スキンケアなど見た目への投資
見た目への投資は、自己満足では終わりません。清潔感は対人関係の第一印象を左右します。
医療脱毛は自己処理の時間を将来にわたって削減します。毎朝のヒゲ剃りが10分なら、年間で約60時間です。スキンケアや眉のケアも同様に、毎日の準備時間を短くしながら印象を上げてくれます。
効果は「自信」という形でも返ってきます。鏡を見るたびに気になっていた点が消えると、人前に出る心理的ハードルが下がります。時間・毎日・心の健康。3つの基準に触れる投資です。
11.眼鏡・視力矯正
視界の質は、起きている時間すべてに影響します。それなのに、眼鏡を何年も替えていない人は少なくありません。
度の合わない眼鏡は、眼精疲労や頭痛の原因になります。フレームの歪みは掛け心地を悪くします。数年使ったなら、視力の再測定と作り直しを検討する価値があります。相場は1万〜5万円前後です(執筆時点)。
コンタクト派なら、目の健康チェックを兼ねた定期受診とセットで考えましょう。「見る」という毎日の行為への投資は、確実に回収できます。
12.書籍・資格取得などの学び
モノと違い、学びは劣化しません。むしろ使うほど価値が増えます。
書籍なら1冊1,500円前後で、著者が何年もかけた知見にアクセスできます。資格取得は数万〜数十万円かかりますが、収入や転職の選択肢に直結する可能性があります。自己投資のリターンは金融投資を上回ることも珍しくありません。
ポイントは「今の課題」に直結するテーマを選ぶことです。なんとなくの資格より、目の前の仕事や生活に効く学びのほうが、回収は早くなります。
13.旅行・非日常の体験
ビズヒッツの500人調査で、使い道の1位に選ばれたのが「旅行や趣味」でした。多くの人が、余裕ができたら体験に使いたいと考えています。
体験の強みは、記憶として残り続けることです。モノは慣れると感動が薄れます。体験は思い出すたびに価値を再生できます。誰かと一緒に行けば、共通の記憶という財産にもなります。
経済的な理由で旅行を後回しにしてきた人ほど、優先度を上げてよい使い道です。体力があるうちにしか行けない場所もあります。
14.健康診断・人間ドック
派手さはありません。しかし費用対効果でいえば、最上位クラスの使い道です。
人間ドックの相場は3万〜10万円前後(執筆時点)。会社の健診では調べない項目まで確認できます。病気は早期発見できるほど、治療費も体への負担も小さくなります。将来の大きな出費を防ぐ「保険」としての支出です。
どんな買い物も、健康があってこそ価値を持ちます。15選の中で地味に見えて、実はすべての土台になる項目です。
15.毎日使う消耗品のグレードアップ
最後は、数百円からできる投資です。タオル、歯ブラシ、シャンプー、調味料。毎日使う消耗品の質を1段階上げてみてください。
1つあたりの差額は数十円〜数百円です。それでも接触回数が多いぶん、快適さを感じる瞬間は1日に何度も訪れます。ふかふかのタオルで顔を拭く朝は、それだけで気分が違います。
大きな買い物の前の「練習」にも向いています。少額で「価値が残る買い物」の感覚をつかめるからです。何から買うか迷ったら、まずここから始めてみてください。
買って後悔しやすいものとは?
買うべきものの裏側には、後悔しやすいものがあります。パターンを知っておけば、同じ失敗を避けられます。ここでは代表的な3つの落とし穴を紹介します。
見栄のためのブランド品が後悔につながる理由とは?
ブランド品そのものが悪いわけではありません。問題は「動機」です。
「自分が欲しい」ではなく「人に見せたい」が動機の買い物は、満足が続きません。評価の主導権が他人にあるからです。周りの反応が薄ければ、価値を感じられなくなります。流行が変われば、持つ理由ごと消えます。
本当に好きで、長く使う覚悟があるなら買ってよいのです。買う前に「誰もいない無人島でも欲しいか」と自問してみてください。答えがノーなら、それは見栄です。
使用頻度の低い高額品はなぜ失敗しやすい?
高級な調理家電、本格的な運動器具、キャンプ用品一式。「いつか使う」前提の高額品は、失敗の定番です。
原因は、購入時に想像した使用頻度と現実のギャップにあります。買う前は「週3回使う」と思っていても、実際は月1回。1回あたりの単価が跳ね上がり、置き場所だけを占領します。
対策は「まずレンタルや低価格帯で試す」ことです。テントサウナのような高額な趣味用品も、初回はレンタルで体験できます。続くと確信してから買う。この順番だけで、失敗はほぼ防げます。
「安いから」で選ぶと損をするのはなぜ?
セール価格に釣られた買い物は、2つの形で損を生みます。
1つは「安物買いの銭失い」です。妥協して買ったものは満足度が低く、結局買い直すことになります。支出は二重です。もう1つは心理的なノイズです。「本当はあっちが欲しかった」という気持ちが、使うたびにちらつきます。
選ぶ基準は価格ではなく「一番欲しいかどうか」です。妥協した3,000円より、納得した10,000円のほうが、長い目で見れば安くつきます。
予算別・買うべきものの優先順位は?
同じ「買うべきもの」でも、手元の金額によって最適解は変わります。ここでは予算を3段階に分けて、優先順位の付け方を整理します。自分の予算の行を見つけてください。
| 予算 | 優先すべきカテゴリ | 具体例 |
|---|---|---|
| 5万円以内 | 毎日の質・健康の土台 | 枕・タオル・眼鏡・書籍・人間ドック |
| 10万〜30万円 | 時短家電・作業環境 | ドラム式洗濯乾燥機・食洗機・チェア・PC |
| 30万円以上 | 体験・長期投資 | 旅行・歯列矯正・資格取得・複数の時短家電 |
5万円以内ならまず何を買うべき?
5万円以内なら、毎日使うものの質を上げることに集中しましょう。
枕の買い替え、良質なタオル、度の合った眼鏡。どれも数千円〜3万円程度で手が届きます。接触回数が多いぶん、金額のわりに体感の変化が大きいのが特徴です。人間ドックもこの価格帯に収まります。
大きな家電は次の機会に回して構いません。まず小さな成功体験を積む。それが賢い使い方の第一歩です。
10万〜30万円で優先すべきものは?
この価格帯の主役は時短家電です。ドラム式洗濯乾燥機、食洗機、ロボット掃除機。いわゆる「時短家電三種の神器」に手が届きます。
3つ全部は無理でも、1つ選ぶなら自分の「一番嫌いな家事」を消すものを選んでください。洗濯物を干すのが苦痛なら洗濯乾燥機。皿洗いが嫌なら食洗機。嫌いな家事ほど、消えたときの解放感が大きいからです。
デスクワーカーなら、椅子とPCの刷新もこの予算で完結します。働く時間の質が変わります。
30万円以上あるときの考え方とは?
30万円を超える余裕があるなら、選択肢は「体験」と「長期投資」に広がります。
歯列矯正のような、若いほど効果が長く続く投資。家族での旅行のような、今しかできない体験。資格取得のような、収入に返ってくる学び。金額が大きいぶん、回収期間の長いものに向けるのが合理的です。
ただし一気に使い切る必要はありません。生活防衛資金を残し、残りを複数の項目に分ける。この配分の意識が、後悔しない大型出費のコツです。
年代・ライフスタイル別のおすすめは?
買うべきものは、年齢や暮らし方でも変わります。20代と40代では、時間・体力・お金のバランスが違うからです。自分の状況に近いパターンを参考にしてください。
20代が優先すべき買い物とは?
20代の強みは「回収期間の長さ」です。今の投資が、この先40年以上効き続けます。
優先すべきは自己投資です。書籍、資格、スキル習得。収入の土台を作る支出が、最もリターンの大きい使い道になります。歯列矯正や脱毛のような体への投資も、若いほど効果を長く享受できます。
一方で、高級品の所有は急がなくて構いません。モノは後からでも買えますが、若い時間は買い戻せません。体験と学びへの配分を厚くするのが20代の正解です。
30〜40代・子育て世帯は何に使うべき?
この世代の最大の課題は「時間不足」です。だから答えは明確です。時間を買ってください。
ドラム式洗濯乾燥機、食洗機、ロボット掃除機、電動アシスト自転車。家事と送迎の負担を機械に渡すほど、家族との時間と自分の余白が戻ってきます。ビズヒッツの調査でも、家電の買い替えや家事サービスの利用は人気の使い道でした。
健康診断もこの世代から重要度が増します。家計を支える人の体調不良は、家族全体のリスクです。時間と健康。この2つに絞って構いません。
一人暮らしと家族世帯で優先順位はどう変わる?
一人暮らしは、自分の生活の質に全額を向けられます。寝具、椅子、PC、そして体験。自分の毎日を底上げする買い物が最優先です。時短家電はコンパクトなタンク式食洗機など、小型モデルから検討すると無駄がありません。
家族世帯は「共有されるもの」から手を付けると効果的です。洗濯乾燥機や食洗機は、家族の人数分だけ効果が倍増します。1人の負担軽減ではなく、家庭全体の時間を生む投資になるからです。
世帯の形が違えば、同じ製品でも価値の大きさが変わります。人数×使用頻度で考えてみてください。
「モノより体験」にお金を使うべきという説は本当?
「モノより体験にお金を使うべき」という説を聞いたことがあるかもしれません。半分正しく、半分は状況次第です。ここでは両者の強みを整理し、現実的な配分を考えます。
体験への支出が満足度を高めやすい理由とは?
体験の満足度が高いとされる理由は、大きく2つあります。
1つは「慣れ」が起きないことです。モノは所有した瞬間から日常になり、感動が薄れていきます。体験は記憶として残り、思い出すたびに満足を再生できます。もう1つは比較されにくいことです。他人の旅行と自分の旅行を比べて落ち込む人は、あまりいません。
500人調査で使い道の1位が旅行・趣味だったのも、この性質と無関係ではないでしょう。人は直感的に、体験の価値の持続性を知っているのかもしれません。
モノへの支出が有利になるケースとは?
ただし、モノが体験に勝つ場面もあります。それは「毎日使うモノ」と「1回きりの体験」を比べたときです。
3泊の旅行は3日で終わります。ドラム式洗濯乾燥機は、5年間毎日働きます。接触回数で見れば、圧倒的にモノが上です。しかも時短家電は「自由時間」を生みます。生まれた時間で体験を楽しめるなら、モノは体験の入り口にもなります。
つまり対立構造で考える必要はありません。良いモノは、良い体験を支える土台になるのです。
モノと体験の理想的な配分はどれくらい?
万人共通の正解はありません。それでも考え方の目安は示せます。
まず、毎日の不満を消すモノに先に投資する。睡眠、家事、作業環境。ここが整うと生活の土台が安定します。そのうえで残った予算を体験に回す。この順番なら、体験を楽しむ余裕そのものが生まれます。
「土台はモノ、上乗せは体験」という配分です。逆にすると、旅行から帰った翌日、山積みの洗濯物に迎えられることになります。
高い買い物で失敗しないためのチェックポイント
最後の関門は「買い方」です。買うものが正しくても、買い方を誤ると後悔は生まれます。購入ボタンを押す前に確認したいポイントを3つにまとめました。
購入前に確認すべき3つの質問とは?
高額な買い物の前に、次の3つを自問してください。
- これは毎日(または週に何度も)使うか?
- これで生活の何が具体的に変わるか?
- 誰にも見せられなくても欲しいか?
3つすべてにイエスと答えられたら、買ってよいサインです。1つでも詰まったら、48時間の保留期間を置きましょう。時間を置いても欲しいものだけが、本物の「買うべきもの」です。
質問はメモアプリに保存しておくと便利です。買い物のたびに見返せば、判断の精度が上がっていきます。
実物を試してから買うべきものとは?
体に直接触れるものは、スペック表だけで選んではいけません。
代表格が椅子とマットレスです。座り心地や寝心地は、数値に表れない相性があります。高級チェアを買ったのに体に合わなかった、という失敗は珍しくありません。店舗で試す、レンタルで数日使う。ワンクッション挟むだけで、数万円単位の失敗を防げます。
眼鏡も同様です。フレームの掛け心地は顔の形との相性で決まります。ネット購入が便利な時代でも、体に触れるものだけは実物確認を優先してください。
返品・保証・売却まで考えると何が変わる?
買う前に「手放すとき」まで考える。これが上級者の視点です。
返品可能な商品なら、失敗のリスクはほぼゼロになります。保証期間が長い製品は、故障時の追加出費を防げます。さらにリセールバリューの高い製品なら、合わなかったときにフリマアプリで売却できます。実質的な負担は差額だけです。
出口が用意されていると、購入の心理的ハードルが下がります。「失敗しても取り返せる」状態を作ってから買う。これが高額品と付き合う賢い方法です。
お金があったら買うべきものに関するFAQ
ここまでの内容を踏まえて、よくある質問に答えます。細かい疑問はここで解消してください。
Q1.お金がない人でも優先して買うべきものはありますか?
あります。数百円〜数千円でできる「毎日使う消耗品のグレードアップ」です。
タオル、枕カバー、歯ブラシ。接触回数が多いものほど、少額でも体感が変わります。書籍も1,500円前後で買える強力な自己投資です。金額の大小より「毎日の質に効くか」で選べば、予算が少なくても後悔しない買い物はできます。
Q2.貯金と買い物、どちらを優先すべきですか?
順番で考えてください。まず生活費3〜6か月分の貯金を確保します。これが生活防衛資金です。
そのラインを超えた分が「使ってよいお金」になります。防衛資金がない状態での大型出費は、急な収入減で家計を直撃します。逆に、防衛資金があるのに使えないままなのも機会損失です。ラインを決めることが、使う・貯めるの迷いを消します。
Q3.ボーナスの使い道としておすすめの割合は?
一例として「貯蓄5割・投資的支出3割・楽しみ2割」の配分があります。
投資的支出とは、時短家電や学びなど価値が残る買い物のことです。楽しみ枠を最初から確保しておくのがポイントです。全額を我慢に回すと、反動で衝動買いが起きやすくなります。割合は家計状況で調整して構いません。決めておくこと自体に意味があります。
Q4.高いものと安いもの、どちらが結果的にお得ですか?
使用頻度で決まります。毎日使うものは、高くても品質重視が結果的に安くつきます。
耐久性が高く、買い替えサイクルが伸びるからです。1日あたりの単価で比べると、高級品のほうが安い逆転も起こります。逆に、使用頻度の低いものは安価品やレンタルで十分です。「毎日使うなら高く、たまにしか使わないなら安く」と覚えてください。
Q5.買うか迷ったときはどう判断すればいいですか?
48時間ルールを使ってください。欲しいと思ってから2日待ちます。
それでも欲しければ、本文で紹介した3つの質問(毎日使うか・何が変わるか・見栄ではないか)に答えます。全部クリアなら購入です。迷いが残るなら、レンタルや低価格帯で試す方法を探してください。「試してから買う」を挟めば、判断ミスはほぼなくなります。
まとめ:お金があったら「時間・健康・毎日」に投資しよう
お金があったら買うべきものの正体は、時間を生み、健康を守り、毎日使うものでした。この3基準はモノ選びだけでなく、サブスクや習い事など「継続的な支出」の見直しにもそのまま使えます。毎月の固定費を3基準でふるいにかけると、買うためのお金を捻出できることも少なくありません。
今日できる次の一歩は2つです。1つ、自分の「一番嫌いな家事・一番の不満」を紙に書き出すこと。2つ、それを消す製品の価格を調べて、予算表のどの段に入るか確かめること。買うべきものは、他人のランキングではなく自分の不満の中にあります。まず不満の棚卸しから始めてください。
参考文献
- 「【一生かけても使い切れないお金を手に入れたときの使い道ランキング】男女500人アンケート調査」- 株式会社ビズヒッツ(PR TIMES)
- 「考えてみよう(1)『欲しいモノ』『必要なモノ』『大切なモノ』」- man@bow(まなぼう)
- 「家計調査」- 総務省統計局
- 「消費動向調査」- 内閣府
